かつて私が所属したスウェーデンのウプサラ大学口腔顎顔面外科で、インプラントの失敗の統計学的分析を行ったことがあります。それによるとインプラント治療に特異的(他の治療法に比べて特徴的な)な失敗をまねく健康状態はないことが分かっています。

口腔内の条件で言えば、清掃状態が極めて不良な方は適していないと考えられます。これは他の歯科治療でも同様ですが、インプラントは腐食しにくい純チタンを使用しているために、清掃はあまりしなくていいとお考えになる方がいらっしゃいます。

歯科医の中にもそういう人がいることは困ったものですが、インプラントを支えるのはその周囲の生身の骨と粘膜です。歯周病と同じようにインプラント周囲炎が少数ですが報告されています。ただし、自分の歯と同様に適切に磨けていれば問題ありません。

インプラント手術の欠点は、規模は小さいものの、手術が必要ということです。やはり外科的な治療は、患者さんにとっては怖いものでしょう。ドクターによる技術の差も大きいことが外科手術を要する治療の欠点でもあります。

残念なことに日本ではインプラント治療の教育システムが十分完備されていません。このことは、私も日本の歯科医師として言及しにくい部分ですが、講習や著作を通じて教育の末端を担う者として反省を込めて明らかにしなければならない点です。

次にインプラント治療は高額な治療になってしますという欠点があります。スウェーデンでは完全に保険治療になっていますが(患者さんの負担率は日本よりも高いですが)、財政の問題を抱えた日本の保険医療システムに、将来インプラント治療が組み込まれることはないでしょう。

治療に他の診療よりはるかに高いコストと時間がかかってしまうのが原因でもありますが、コストに見合う信頼できる診療能力と結果、すべてをオープンにして患者さんに説明する義務を我々医療サイドは果たしていくことでしかこの問題を解決あるいは緩和する方法はないと思われます。

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